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日産という銘柄としてどうか

11月19日の報道で、日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反の疑いで逮捕され、一躍大ニュースとなりました。
翌日にはこんな記事も出るなど、しばらくはメディアを賑わせそうな雰囲気を感じます。
そこで並行して話題に出るのが、元々配当利回りの良かった本銘柄を、安く買えるチャンスなのではないか?と捉える向きがあることです。
さて、本当に大丈夫でしょうか。
今回はこの事について考えます。

今回のゴーン氏逮捕について

1つ言えるのは、少なくとも今回の事件は脱税とかではなく、あくまで有価証券報告書の虚偽記載が問題になっている点です。
もちろん、今後色んなことが出てくる可能性はありますが、現時点ではそこが問題視されている。
この点については承知しておく必要があるでしょう。
なんだか背任っぽい経費支出なんて話もあるので今後はわかりませんが、ゴーン氏がいなくなったからといってノートやリーフが全て暴走を始めるわけでもありませんし、セレナが煙を吹くわけではありません。

日産の現状を整理する

細かい数字は直近の決算短信から取りました。

損益計算書

31年3月期
30年3月期
売上高
(百万円)
5,532,722
5,652,509
営業利益
(百万円)
210,335
281,832
営業利益率(%)
3.8
5.0
経常利益
(百万円)
320,932
369,533
四半期利益
(百万円)
246,258
276,509
四半期利益率(%)
4.5
4.9
トヨタの利益率が概ね10%弱で推移しているところを見ると、利益率は低いと言わざるを得ません。
水準としてはホンダと同じくらいですかね。
安定的に株主に利益を還元してくれる銘柄としては、少し気になるところです。
セグメント別も見てみましょう。
31年3月期
売上高
(百万円)
31年3月期利益
(百万円)
利益率
(%)
自動車事業
4,962,465
65,667
1.32
販売金融事業
570,257
129,408
22.69
こうしてみると、自動車事業がいかに利益率の低いものかわかります。
こちらの記事で少し前のトヨタの事に触れられてますが、その時のトヨタの金融事業の利益は全体の2割ちょっと。
かたや日産は利益の3分の2を金融に依存しています。
ちょっとこれは業種業態としては苦しいかな、というのが私の見立てです。

バランスシート

31年3月期
流動資産
(百万円)
11,744,644
固定資産
(百万円)
7,385,959
資産合計
(百万円)
17,141,588
流動負債
(百万円)
7,425,795
固定負債
(百万円)
5,928,094
負債合計
(百万円)
13,353,889
資本合計
(百万円)
5,776,714
自己資本比率(%)
30
こうしてみると、キャッシュをかなり溜め込んでいるな、という印象を持ちます。
自動車事業はある程度の装置が無いとそもそも車は組み立てられないので、固定資産が増えるのは致し方ないかなとも思いますが…。

図式化してみると、やはり流動資産が多い印象です。流動負債比率が1を超えるという意味では安全性がある、とも見れますが、それにしてもここまで溜め込む必要はあるかな?と思います。

キャッシュフロー計算書

前年同期比で見ると営業CFに多少の改善が見られます。

ある程度潤沢にフリーCFはありますが、自動車産業の宿命か、設備投資もまあまあな額になります。
楽天みたいに将来の種まきとしての積極的な投資ではなく、自動車事業を続ける限り嫌でもかかってくる投資、という意味で、性格は違ってきます。
そう考えると、もう少し営業CFがあってもいいな、とは思います。

今後の見通しは?

三社連合の行方

ゴーン氏の去就はわかりませんが、少なくとも今後日産・ルノー・三菱の三社連合の関係がどうなるのか、ここが1つ目のポイントになります。
三社連合でようやく2位にはいますが、これが万が一瓦解する事になれば、自動車業界内での存在感は一気に薄れてきます。
一社一社を個々で見ると、ボルボみたいな安全性についての絶対的なイメージがあるわけでもないので…日産は自動運転で云々みたいな事もCMでは見ますが、果たしてどこまで浸透しているでしょうか。
フランス政府の存在も報道を見る限りちらついているので、ここには今後も目を光らせる必要があるでしょう。

利益体質の改善

最終的にはフリーCFをどれだけ確保出来るかが、今後の種まきのための種銭を確保する意味でも重要になってきます。
そのために今ある膨大な現金を吐き出すのが、新たな技術開発にお金を注ぎ込むのか、今後の経営に注目です。

まとめ

利益が生み出せる体質とは言いがたく、なんとかフリーCFは確保していますが、今後安定的に株主へ還元してくれるか?となると疑問です。
もしそこまで考えているならここまで現金を溜め込んでないでしょうし。
先行きもリスクを取れるほどにはクリアになっていないと判断しますので、私はこの銘柄には買いは入れません。
この記事が何かのお役に立てば幸いです。

Source: 積立投資健忘録

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